2022年度研究総会
2022年は、CRC研究所が設立されてから20年が経ちます。CRC研究所は、この20年間、子どもの権利・条約の実現にむけて、研究と実践の進展に努めてきました。
2022年5月17日、こども家庭庁を設置する関連法案とこども基本法案が、衆議院本会議において賛成多数で可決されました。やっと、わたしたちが望んできたことが現実になろうとしています。しかし、教育分野は依然として文部科学省に残り、省庁の縦割りの弊害が取り除かれないこと、独立した「子どもの権利擁護機関」の設置が見送られたことなど、いまだ課題は多い現状です。
そこで2022年度も、2021年度に引き続き、こども基本法をテーマとして取り上げ、以下の方々にご報告いただきます。日本で暮らすすべての子どもの権利を保障していくために、参加者のみなさんとともに課題を共有し、今後の方向性を議論したいと考えています。どうぞご参加ください。
※シンポジウムはオンラインによる開催となります。以下のチラシをご参照の上、事前に参加申込をお願いいたします(お申込み締切:6月11日(土))。
【6月18日(土)】13時~16時(予定)
オンラインで開催(Zoomを利用) ※事前参加申込者へオンラインURLをお伝えします。
子どもの権利条約総合研究所設立20年
「こども基本法と子どものウェルビーイング-子どもの権利の課題と展望―」
開会あいさつ
荒牧 重人(山梨学院大学教授/子どもの権利条約総合研究所代表)
基調報告
「こども基本法と子どものウェルビーイング-子どもの権利の課題と展望―」
野村 武司(子どもの権利条約総合研究所副代表 東京経済大学 弁護士)
報告
「こども家庭庁・こども基本法をめぐる国・市民社会の動向」
西崎 萌(セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン)
「子どもの意見表明・参加とこども基本法」
林 大介(浦和大学 子どもの権利条約ネットワーク)
特別報告
「こども基本法と子どものウェルビーイングをめぐる国際的動向」
平野 裕二(ARC)
閉会あいさつ
内田 塔子(子どもの権利条約総合研究所事務局長 東洋大学)
コーディネーター
高石 啓人(山梨県立大学)
安 ウンギョン(東洋大学)
【研究報告・ワークショップ】6月19日(日)午前・午後
10:00~12:30 研究報告(オンライン、Zoomを利用)
※終了時間は前後する場合があります。
コーディネーター
加藤 悦雄(大妻女子大学)
報告
- 中国・内モンゴル自治区における農村留守児童のグループインタビュー調査分析
麗 麗(子どもの権利条約総合研究所特別研究員) - 母子生活支援施設における子どもの権利擁護:第三者評価を手がかりに
浅田 明日香(名古屋市立大学大学院) - 子どもの権利と貧困を考えるノベルゲーム
―中高生世代向け子どもの権利学習コンテンツの開発とその課題―
〇安部 芳絵(工学院大学)
藤川 真樹(工学院大学)
田代 光恵(公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン)
鳥塚 早葵(公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン) - 子どもの権利条約における離婚後の親子の面会交流の意義
―家事調停の課題と子どもの最善の利益の考察―
松倉 聡史(旭川大学短期大学部 幼児教育学科) - 子どもの意見表明・参加の権利に関する基礎研究―こども基本法成立を契機として考えたい問題
喜多 明人(早稲田大学名誉教授)
午後 ワークショップ 「子どもオンブズワークについて考える」
(オンライン、Zoomを利用)
コーディネーター
野村 武司(東京経済大学)
半田 勝久(日本体育大学)
子ども条例に基づく子どもの相談・救済機関(公的第三者機関)は、2021年度までに38自治体で設置されており、2022年度には5自治体で開設に向けた準備が進められています(子どもの権利条約総合研究所HP参照)。
子どもの相談・救済機関の開設には、制度運営に係る様々な事務準備、広報・啓発資料作成等とともに、子どもの相談・救済機関の職務(子どもオンブズワーク)理解のための研修が行われています。研修内容は多岐にわたりますが、「子どもオンブズワークとは何か」を理解するためには、子どもの権利条約に基づく相談・救済のアプローチについて、具体的な事例から学ぶことが求められています。
ただ、新設する子どもの相談・救済機関独自でこうした研修を行うのは、経験も乏しく困難です。そこで、本企画では、子どもの気持ちに寄り添う相談・救済とはどういうことか、子どもの最善の利益を考慮して解決につなげるためにはどういったアプローチを採用すればよいのかについて、子どもの相談・救済機関で実際に行われている研修をもとに、ワークショップ形式で考えていきます。
当日は、子どもの権利擁護委員や相談・調査専門員経験者も参加しますので、擁護委員や相談・調査専門員の研修として、子どもオンブズワーク理解の一助として、子どもの権利条約総合研究所研究員をはじめ、弁護士、社会福祉士、公認心理士他、多くの実務経験者にもご参加いただければ幸いです。