2024年7月6日(土)研究総会シンポジウム:子どもの権利を基盤とした「自治体こども計画」

国連・子どもの権利条約(以下、条約)を地方レベルで実現する、子どもの権利を基盤としたまちづくりに関する議論は、国際的には、条約採択の翌年から国連会議で度々議論されてきました。特に1996年「第2回国連人間居住会議」でユニセフがそのようなまちを「子どもにやさしいまち」(Child Friendly Cities)と名づけてからは、ユニセフが議論を先導する形で、「子どもにやさしいまち」の定義や「子どもにやさしいまち」づくりに必要な戦略等が提唱されてきました。

国内的には、1990年代後半に川崎市で、子どもの権利を保障するしくみづくりに関する議論が、子どもを含む市民と行政の間で全市的に始まっており、2000年に日本初の子どもの権利に関する総合条例が制定されました。それ以降、子どもの権利に関する条例を制定し、条例に基づいて子どもの権利を基盤としたまちづくりを推進する自治体は徐々に増え、2024年5月現在、69自治体になっています。日本では、子どもの権利を基盤としたまちづくりが、川崎市を皮切りに地方自治的に進展してきたと言えます。

そのような中、2022年6月にこども基本法および関連法が成立し、条約の精神に則って子ども施策を推進していくことが明記され(こども基本法1条)、条約に掲げられた4つの一般原則が基本理念に位置づけられるとともに(同3条)、子ども施策の策定・実施・評価にあたって、当事者である子どもの意見を反映させるために必要な措置を講じることが国・自治体に義務化されました(同 11 条)。これにより、これまで条約と子どもの権利に関する条例を根拠に、自治体独自に推進されてきた子どもの権利を基盤としたまちづくりが、全自治体に課される新たな局面を迎えています。

そこで今年度のシンポジウムでは、子ども施策を体系づけて総合的に実施していくための見取り図である「自治体こども計画」に焦点をあて、毎年当研究所が自治体と協働で開催している「『地方自治と子ども施策』全国自治体シンポジウム」のこれまでの成果も踏まえながら、子どもを含む市民の多様な意見を反映し、市民との協働による子どもの権利を基盤とした「自治体こども計画」の現状を踏まえ、課題を考察したいと思います。

【日 程】2024年7月6日(土)13時~16時30分(予定)
【場 所】東洋大学赤羽台キャンパス WELL-B HUB2 20310教室
【参加費】会場参加:2,000円 学生1,000円  ※※研究員は無料/当日資料配布あり

研究総会チラシ研究報告(7月7日午前)プログラム

【7月6日(土)】13時~16時30分(予定)
東洋大学赤羽台キャンパス WELL-B HUB2 20310教室(対面開催)

子どもの権利を基盤とした「自治体こども計画」

開会あいさつ

荒牧 重人(子どもの権利条約総合研究所代表)

基調報告

森田 明美(東洋大学名誉教授)

全国自治体調査中間報告

内田 塔子(東洋大学)

報告

自治体報告(1):中野区(東京都)
自治体報告(2):(調整中)

特別報告

ウェールズ・スコットランドにおける「子どもの権利アプローチ」
平野裕二(ARC)

指定討論

野村 武司(子どもの権利条約総合研究所副代表 東京経済大学 弁護士)

コーディネーター
半田 勝久(日本体育大学)
高石 啓人(日本大学)

研究報告

7月7日(日)9時30分~12時30分(予定)
東洋大学赤羽台キャンパス WELL-B HUB2 20310教室

コーディネーター(予定)
加藤 悦雄(大妻女子大学)
半田  勝久(日本体育大学)

報告

1.尹 暁珊(子どもの権利条約総合研究所特別研究員):中国・上海市における 3 歳未満の子どもを育てる家庭の祖父母協力に関する研究
2.相庭 貴行(筑波大学大学院):子どもの権利主体性を基盤とする教育実践に関する一考察 ー宮坂哲文の生活指導論を手がかりにー
3.林 茉子(国際基督教大学大学院 修了):日本の里親家庭で暮らす里子の聴かれる権利
4.麗 麗(東洋大学):保育所おける外国にルーツを持つ子どもへの支援に関する研究
5.羅 妍智(東洋大学大学院):韓国の10代親における妊娠・出産期の学習権保障に関する研究