2014年度WAM助成事業

おしらせ

活動報告

【2015/1/22(木) 児童センター・児童クラブにおける「寄り添い型支援」研修(南相馬市)】(更新日:2015年2月8日)

2015年1月22日(木)10:00~12:15に、「児童センター・児童クラブにおける『寄り添い型支援』研修《が、南相馬市東町児童センターを会場にして開催されました。
この研修は、被災地において子ども支援者となりうる児童センター・児童クラブの職員を対象に、子どもが今を生きる主体として支えられることの意義と方法を学ぶものです。
参加者は、日々子どもたちの日常に直接かかわっている13か所の児童センター・児童クラブ指導員など40人でした。研修内容は、以下の3部構成で進められました。

(第1部)森田明美氏(東洋大学)からは、「寄り添い支援の価値《について、被災地支援の実際から、学習支援の場での軽食の取り組みが、市民性にもとづいて寄り添い支援されていることや、子どもたちの今を生きる支えにつながっていることなどをお話しいただきました。
浜田進士氏(子どもの権利条約総合研究所)からは、南相馬市で9月12日に実施された「子どもにやさしいまちづくり研修《の振り返りを実施していただきました。この時の研修をきっかけに、参加者に「寄り添い《の気づきがあり、変化が認められたことから、今回の研修編から、次回の実践編となる「手作りおやつ《を実施することの意義につなげていただきました。

(第2部)小川晶氏(椊草学園大学)からは、手作りおやつ(パン)場面を活用した寄り添い支援のための実習を進めていただきました。実際に食パンを扱いながら子どもたちに寄り添う視点について学びました。この実習をもとに、実際に子ども支援者が、子ども支援現場にて実践することができます。

(第3部)東洋大学研究会で開発した「いまの状況を知るための生活充実度チェックシート《を用いて、ワークショップを実施しました。清水冬樹氏(旭川大学)によるチェックシートの説明にはじまり、片貝英行氏(NPO法人キッズドア)、林大介氏(東洋大学)、中鉢博之氏(ビーンズふくしま)浜田進士氏、椊木信一氏(新潟県立大学)が加わって進めました。参加者にとっては、実際にチェックリストを記入することにより、子どもの生活にはさまざまなテーマがあることへの気づきを促すことができました。参加者からは、「具体的にチェックしてみることで、日常生活での会話が予想以上にあることに気が付いた《などの感想がありました。

最後に、森田明美氏から、寄り添うことの第一歩は、「この子が大事《と思えることであること。その際、パンなどがあると楽しくて会話がはずみ、食べるということを手がかりにして、子どもに寄り添うという体験ができること。それによって子どもに「もう一歩《近づくことができ、コミュニケーションをとることができることなど、寄り添い支援が果たす役割についてまとめていただきました。
なお、今回の研修成果をもとに、2月に南相馬市の13か所の児童センター・児童クラブにて、手作りパンの取り組みとして、寄り添い支援が実践されることになりました。

【2014/9/12(金) ワークショップで学ぶ 児童センター・児童クラブにおける子どもにやさしいまちづくりをめざした取り組み(南相馬市)】(更新日:2015年2月8日)

研修会「ワークショップで学ぶ子どもにやさしいまちづくりと児童館・児童クラブの役割」は、2014年9月12日(金)に、南相馬市役所で開催されました。

参加者は、震災後、南相馬市の児童館・児童クラブで日々子どもたちにかかわっている指導員(地元のおとなたち)や、被災地子ども支援ボランティアに参加している学生スタッフなど合わせて約60人でした。

講師の森田明美氏(東洋大学)からは、被災地子ども支援に求められる視点として、①被災地では特別なケアを子どもにするという決意②市民社会との協働③子どもの必要性に合わせた柔軟性④多様な場面・状況に対応する重層性⑤子どもを中心に子どもの暮らし全体を支える総合性⑥子どもを決して裏切らない継続性⑦揺るがない子どもの権利の視点について講演していただき、「子どもとともに」すすめる復興の大切さを学ぶことができました。

また、同じく講師の浜田進士氏(子どもの権利条約総合研究所)からは、「なぜ子どもの参加が必要なのか」について理解するためのワークショップを進めていただきました。具体的には、参加者をそれぞれ子ども役、保護者役、指導員役にしてロールプレイを実施しました。例えば学生スタッフが指導員役を演じることによって、指導員がより客観的に自らの子どもとのかかわりについて確認するこができました。

参加者のアンケート結果からは、「『子どもは今を生きる主体であり、子どもが育つことが未来であること』『子どもと一緒に笑うこと、一緒に悲しむことがその子を回復に向かわせる』という森田先生の言葉が背中を押してくれるように思います。」「その子にとっての、毎日の生活が安心するものであるよう、子どもに身近なおとなである自分を律していきたいと思います。」「指導員一人ひとりが主体となったロールプレイのワークショップでは、それぞれが自分の発信力、聴く力を感じられたことと思います。本来の子どもの声をきけているか?常に自分を振り返りたいと思います。」といった感想がありました。

なお、この研修をきっかけに、指導員(地元のおとなたち)による主体的な「研修企画委員会」が発足しました。